神戸王子動物園のアジアゾウ、ズゼ(31歳)の生まれ故郷はラトビア、リガ動物園です。6歳のときに阪神淡路大震災で傷ついた神戸を励ますために、姉妹都市のリガ市がズゼを神戸に寄贈してくださいました。1996年9月に神戸までズゼと一緒に来られた飼育員、Gunars Schauersさんが先日 2022年2月1日に亡くなりました。86歳でした。
リガ動物園の関係の方からお知らせを2月4日の朝にいただきました。
生後3か月で母親が急死したズゼは人工保育で育ちました。Schauersさんはズゼの母親代わりだったのだと思います。
2019年にラトビア放送局が作成したビデオです。ズゼが1996年にリガから来日する前の貴重な映像が後半にあり、Schauersさんがインタビューを受けています。前半は王子を訪れた、リガ訪問団(神戸&リガ姉妹都市45周年記念)の写真が映っています。

王子動物園には科学資料館があり、動物関連の書籍を読めます。図書館の受付にはズゼの写真がおいてあります。

王子動物園の機関紙「はばたき 40号」にズゼの来園特集が掲載されています。PDFファイルで公開されていますが、資料館にも置いてあり、そちらを見てきました。
はばたき 40号:
http://www.kobe-ojizoo.jp/habataki/pdf/habataki40.pdf
1995年3月 阪神淡路大震災の直後にスイスから来園した雄ゾウのマックも紹介されています。同じ時期にタイから雌ゾウがマックのお嫁さんで来る予定でしたが、震災のために来園が困難になり、新たに花嫁候補を探すことになりました。それでズゼに白羽の矢が立ちました。リガの人たちはズゼを遠い日本にお嫁にだすことを大反対しました。が、神戸のために最終的には承諾してくださいました。

リガ動物園を訪問された権藤園長がグレイジンス園長とズゼに会っているお写真が大きく掲載されています。

ズゼの来園の経緯、ラトビアのこと、リガ動物園のことが詳細に書かれています。

ズゼの歓迎会にサウエルさん(Gunars Schauersさん)も参加されました。
サウエルさんの左が権藤園長です。

権藤元園長は「ズゼちゃんだいすき ラトビアからやってきたゾウと飼育員の物語」という本を制作されて、昨年2021年3月にCATパブリッシングから出版されました。ズゼとサウエルさん(本ではザイフェルトさん)が主人公です。
物語は創作の部分がありますが、ズゼとサウエルさんの関係は描かれているとおりに深いものであったに違いありません。

ズゼの王子到着時の写真です。

王子動物園の歴史の中に刻まれています。

資料館に行った2月6日、午後は雪がふりました。
はばたき40号 (1997年) 掲載のズゼ(6歳)とマック(4歳)子どものころのふたり、雪の中で元気に過ごしています。
2022年2月6日 15時すぎズゼ(31歳)とマック(29歳)マックがズゼの後ろを歩きます。
はばたき40号 (1997年) 掲載のズゼとマックズゼはマックより2歳年上で、この当時マックより体が大きいです。
2022年1月30日 ズゼとマック来園から25年半がたち体は大きくなりましたが、かわいいお顔は当時とあまりかわりません。
久しぶりにマックとズゼの同居が再開されました。ふたりはとても仲が良くて相性もよく、4頭の子どもをもうけました。
私はサウエルさんの訃報の連絡があった2月4日の朝、王子を訪れました。ズゼにサウエルさんのことを伝えようとしましたが、言いかけて止めました。ズゼがとても穏やかなお顔をしていたからです。もしかしたら、サウエルさんがもうズゼに会いに来てくれたのかもしれない、きっとそうだと思いました。
2022年2月4日 ズゼズゼを愛して育んでいただいたサウエルさん、ありがとうございます。心から感謝とお礼を申し上げます。ご冥福をお祈りいたします。
ズゼは1996年9月3日に王子動物園に来園しました。その10日前にリガを出発しています。8月25日ごろでしょうか。個人的な事ですが、私はこの日の事をよく覚えています。はじめてヨーロッパの旅行に行き、この頃私はパリにいました。ベルギーの街々、パリを訪れて、憧れの西欧文化にたくさん触れることができ舞い上がっていました。8月27日にドイツ、フランクフルトで大阪への便に乗り帰国しました。
ズゼとサウエルさんはこの数日後に同じフランクフルト空港から成田行きの便に乗りました。もしかしたらものすごく近くにズゼとサウエルさんがおられたのかもしれません。
私はこの旅行がきっかけになり、年に1、2度 ヨーロッパを訪れることになりました。欧州を制覇するというのが夫の目的になり、たくさんの国を訪れて西洋文化、建造物を見てきました。言葉にも関心を持ち仏語、独語を習うきっかけになりました。貴重な経験をしてきたと思います。
2017年6月に訪れたラトビア、リガ市でズゼが神戸にいることを聞きました。こんな北欧の小さな街から神戸にきてくれたゾウさんに会いたくて、帰国後すぐに王子動物園を訪れました。
王子に来園当初のズゼは相当の戸惑いがあったそうです。徐々に神戸の習慣、言葉に慣れて、調教を学んで、いろいろな経験を積んで生きてきただろうと思います。人を良く見て行動するところ、穏やかで優しくてお茶目、ちょっと意地悪なところもかわいい性格のズゼです。会えば会うほど好きになります。今では毎日ズゼに会いに行っています。
コロナがあり、2019年7月から海外には行っていませんが、旅行で見た素晴らしいものがたくさん心に残っています。でもヨーロッパで見つけた一番の宝物、出会いはズゼちゃんなのだと思います。
posted by jirokayo at 13:27|
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